「これでいいのか」と思いながら働く日々
転職を考え始めたきっかけは、劇的な事件があったわけではありませんでした。
むしろ、日々は穏やかで、仕事もこなせていたし、職場の人間関係にも大きな不満はなかった。
評価もそこそこ、環境も悪くない。
…なのに、ある朝ふと、「このままでいいんだっけ?」と思ってしまったんです。
安定しているのに、なぜか満たされない感覚
毎朝決まった時間に出社して、淡々とこなす業務。
ときどき忙しくなったり、感謝の言葉をもらう瞬間もある。
それでも、心の奥のほうではずっと小さなモヤモヤがくすぶっていました。
- この仕事、誰でもできるんじゃないか?
- 自分はここで何か価値を出せているんだろうか?
- 本当にこの仕事を10年後も続けていたいのか?
そんな問いが頭に浮かんでは消えていき、気づけば週末になるとYouTubeばかり見て時間を潰すようになっていました。
“この日常から何かを変えたい”という焦りが、静かに膨らんでいったのを覚えています。
周りが楽しそうに働いて見えると、自分だけ取り残されたような気がした
SNSでは、同世代が新しい業界に挑戦したり、やりたいことを見つけて転職したという投稿が目に入ってきます。
「自分の強みを活かして、自由な働き方を実現しました」
「毎日楽しく仕事できていて幸せです」
そんな言葉に触れるたびに、自分の仕事との温度差に気づいてしまう。
悪くはない。でも、良くもない。
この「悪くないけど好きじゃない」状態は、意外としんどいものです。
転職すれば何かが変わるんじゃないか、という期待
頭の中では、「どんな仕事が向いているか」なんて、はっきり分かっていませんでした。
でも、このままモヤモヤしたままでいるくらいなら、いっそ環境を変えたほうがいいんじゃないか。
職種を変えれば、自分の知らなかった可能性が見えてくるかもしれない。
そんなふうに、明確な軸というより“変化への期待”で転職サイトを開くようになっていきました。
それが、最初の転職の始まりでした。
転職しても、やっぱりしっくりこなかった
転職先が決まったとき、「よし、これで変われるかもしれない」と思いました。
今度の職場は、やりたいと思っていた職種。面接でも自分の強みに興味を持ってもらえた。
条件も悪くないし、何より職場の雰囲気も前よりフラットで、裁量もありそうだった。
期待を込めて、新しいスタートを切りました。
けれど数ヶ月経った頃、また同じ気持ちに襲われたんです。
環境は良くなった。でも、自分の気持ちは変わらなかった
確かに、以前よりも自由度はあったし、仕事のスピード感もやりがいもあった。
でも、自分の中に残っていたモヤモヤは、完全には消えなかった。
- 業務自体には集中できるけど、心から楽しいと思えない
- 周りは成果を出しているのに、自分は何かズレている気がする
- 成長している実感はあるけど、充実しているとは言いきれない
「これも、向いてなかったのかもしれない」
そんな言葉が、ふと頭の中をよぎるようになりました。
職種を変えたら変わると思っていた
それまでやっていた営業職から、CSやマーケ、バックオフィスなど、業務内容が大きく違うポジションに移ってみたりもしました。
けれど、どれもしっくりこない。どこかに居場所があると思って探したのに、また迷子になっている気分。
「また間違えたかもしれない」と思うたびに、自信が少しずつ削られていきました。
迷う自分に嫌気がさしていた
一度転職したからには、もっとポジティブに働きたいと思っていたし、
環境を変えたからには、成長ややりがいを感じられるはずだと思っていた。
でも、そう感じられないのは自分のせいなんじゃないか。
何をやっても満たされないなら、結局どこに行っても同じなんじゃないか。
そんなふうに思い始めると、行動する勇気がまた遠のいていきます。
「職種が違えば自分も変わる」という考えの落とし穴
転職や職種変更は、人生の大きな決断です。
でも、その変化が本当に意味を持つのは、そのあとどう働いたかによると、後になって気づきました。
「変わるきっかけ」としての転職は正解でも、
「向いてるかどうか」の答えは、その後の行動と積み重ねの中にしかありません。
本気でやって初めて気づいた「これは違う」
転職しても、なんとなくしっくりこない。
でも、ここでまたすぐに辞めたら、自分がどんどん信用できなくなる気がした。
だからこそ、一度ちゃんと向き合ってみようと思いました。
中途半端に距離を取るのではなく、目の前の仕事にしっかり取り組んでみる。
「向いてるかどうか」を見極める前に、まず“やり切る”ことを選んだんです。
本気でやってみて、見えてくる感覚がある
それまでは、苦手な仕事や、納得できないプロジェクトがあると、
どこか心の中で「これは一時的なこと」と距離を置いていました。
でも、そのやり方ではいつまでたっても自分のことがわからなかった。
ある日、任されたプロジェクトをきっかけに、覚悟を決めて取り組んでみました。
- 結果が出るまで、納得するまでやってみる
- わからないことは全部調べて、自分なりの方法を探してみる
- 誰かに言われる前に、自分から提案して動いてみる
そうやって一つひとつの仕事を「自分の責任」として取り組んでいくうちに、
見えてきたものがありました。
「努力で埋められない壁」が存在することに気づいた
たとえば、資料をまとめるのがやたら遅い。
クライアントとのすり合わせが苦手で、話の主導権を握れない。
作業の細かいところにこだわりすぎて、逆に進まない。
一生懸命やっても、どうしても自分の中でストレスになる場面が続く。
そういうとき、「これは苦手だな」とか「向いてないかもしれないな」という感覚が、少しずつ確かなものになっていきました。
それは決して「逃げ」ではなく、やり切ったからこそ見えた限界だったと思います。
無理なことが見えたからこそ、次に活かせる
「違うな」と思えた瞬間は、むしろ安心につながりました。
やってみて違うとわかったことで、次に何を避ければいいのかが明確になったからです。
- スピード重視の現場より、丁寧に進める仕事の方が向いている
- ひとりで抱え込むより、チームで会話しながら動く方が楽
- 指示されたことをこなすより、自分で段取りを考えるほうが合っている
こういった“向き”は、頭で考えるより、身体で感じるほうが正確です。
本気でやったあとだからこそ、自分に嘘をつかずに判断ができるようになったと思います。
「向いてるか」は、全力でやったあとにしか見えてこない
転職先でモヤモヤしていた頃、もしあのまま「また違ったかも」とすぐに離れていたら、
自分の得手不得手に気づくこともできなかったはずです。
向き合う勇気、本気でやってみる覚悟があって初めて、
「これは違った」と自信を持って言えるようになる。
そして、その“違った”という経験が、次の選択の精度を大きく高めてくれる。
次章では、そんな失敗のあとに思いがけず出会った「案外しっくりきた仕事」について。
本命じゃなかったのに、なぜか自然に続けられた仕事との出会いをお話しします。
失敗の先に見えた、思ってもみなかった向いてる仕事
「これだと思った仕事が、違った」
その経験を通して、自分の苦手や限界に気づいたあと、不思議なことが起きました。
次に任されたのは、本来まったく興味のなかった業務。
どちらかといえば“外れクジ”のように感じていた内容でした。
ところが、その仕事が意外にも、驚くほど自分にフィットしたのです。
興味はなかった。でも、やってみたら違和感がなかった
当時アサインされたのは、社内向けの業務フロー改善。
地味だし、表に出る仕事ではないし、他の人がやりたがらなかった案件でした。
でも、やってみると妙にしっくりくる。
- 無駄なやり取りを整理したり
- ドキュメントを構造的にまとめたり
- 各部署と調整しながら、流れを組み直す
目立たないけど、関係者から「助かった」と言われる。
ゴールがはっきりしていて、そこに向かって“整えていく”感じが、自分には合っていたんだと初めて気づきました。
評価されたとき、「これでいいんだ」と肩の力が抜けた
この仕事で初めて、上司から明確に褒められました。
「これ、めちゃくちゃ助かるね」
「〇〇さんがやると、やっぱり仕上がりが違うね」
驚いたのは、自分が“頑張ったつもりじゃないこと”が、相手にとっては価値になっていたことです。
それまでは、人より努力しないと結果を出せない仕事ばかりだった。
でもこのときは、自然体でやったことがちゃんと評価された。
「あ、これが“向いてる”ってことなのかもしれない」と思いました。
向いてる仕事は、自分で見つけるものじゃなく“気づく”もの
この経験を通してわかったのは、
向いてる仕事って、最初から言語化できるものじゃないということです。
- 最初は期待していなかった
- 誰にも相談せずに淡々とやっていた
- 結果として自分にとってストレスが少なく、周囲にとっては価値があった
そういう仕事は、後から「実は合っていた」と気づくことが多い。
職種名や求人情報からは決して見えてこない、自分の“はまり方”。
それは経験の積み重ねの中で、ふとした拍子に顔を出すものです。
予想外の出会いにこそ、可能性がある
もしかしたら、本当に向いてる仕事は、
「今の自分がやりたいと思っているもの」とは違うかもしれない。
でも、少しでもやってみることで、
“案外イケるかも”という直感が働いたり、
“自分ってこういうのもできるんだ”という発見がある。
最初の違和感や失敗を経たあとだからこそ、その出会いがより鮮明に感じられる。
キャリアに遠回りなんてない。軸を見つけた先の安心感
複数の職種を経験して、転職も2回して、最初は迷ってばかりでした。
でも、今ようやく「自分はこういう仕事なら自然に頑張れる」という感覚をつかめています。
最初から向いてる仕事に出会えたわけではありません。
むしろ、何度か失敗したからこそ見えたものの方が多かった。
本気で取り組んで違和感を感じ、遠回りをして、自分のことがやっと少し分かってきた気がします。
正解を探し続けるより、「これなら続けられる」でいい
働くうえでの“しっくりくる感覚”は、過去の選択をすべて無駄にしなかったと実感させてくれます。
- 続けられる
- 自然とがんばれる
- 評価される実感がある
この3つが重なる場所にたどり着けたとき、人はようやく「これが向いてるということかもしれない」と思えるんだと思います。
転職や職種変更のたびに、間違えたかもと落ち込むこともありました。
でも今は、あの遠回りがなければ今の自分はいないと、胸を張って言えます。
▼自分で決められないときは、誰かに話してみるのも手です
「向いてる仕事は後からわかる」
そう言われても、まだ不安が消えない人もいるかもしれません。
一人で悩んでいると、考えがぐるぐるして止まらなくなります。
そんなときは、誰かと話すだけで視界がパッと開けることもあるんです。
たとえば【ポジウィルキャリア】は、転職のためだけでなく、
「自分の強みや価値観を整理すること」から始めてくれるキャリア支援サービスです。
押しつけや求人紹介ではなく、”自分らしいキャリア”を一緒に考えてくれるので、
「転職するかどうかすら決めきれない…」という段階でも相談しやすいです。
迷っていることを口に出すだけで、前に進めることもある。
そんな体験を、あなたにもしてほしいと思います。
最後に
キャリアに正解はありません。
でも、「これならいけるかもしれない」と思える実感が持てたら、それがあなたにとっての正解です。
失敗を恐れず、小さな違和感にも耳を傾けながら、
あなた自身の働き方を、少しずつつくっていけますように。