子連れの旅行って、ごはんにあんまり期待できない…って、正直思ってた。
特にまだ0歳。食べるのは大人だけだし、ぐずったら途中で中断もあるし。
でも、ふふ河口湖ではその前提がまるっと覆される。
部屋じゃなくて、ちゃんとした食事処で味わう贅沢なひとときを記事にまとめていきます。

今回は個室対応で、赤ちゃんがいても気を張らずに過ごせ、
そしてそのごはんが、ほんとうに、ちゃんと「ごちそう」だった。
薪と溶岩石で仕上げる料理って、こんなに香りが違うんだ

薪火で焼かれた筍から始まった春の物語

炭火ともまた違う、薪の香ばしさが立つ焼き筍。上にのった木の芽味噌が春の青さをぐっと引き立てる。まだ始まったばかりなのに、香りだけで満足してしまいそうだった。
薄葛仕立ての椀で、口の中に春が広がる

葱の香りがふわっと立ち上がるやさしい椀。薄くとろみのついた出汁に、桜鯛の身と薯餅のもっちり感が静かに寄り添っていた。蕨のほろ苦さが、春の名残みたいに口に残る。
海と山、そして春野菜の“盛り合わせ”という贅沢

盛り合わせといっても、ただ並んでいるだけじゃない。一つひとつが春の素材で、組み合わせも楽しい。フォアグラにりんご味噌、そこにポン酢餡。こんな組み合わせ、想像してなかった。
お造りの炙り香と、蕨の苦み

鰆の炙りが、とにかく香り高くて印象的。中トロは言わずもがな、金目鯛の甘みもふんわり。蕨の苦みがアクセントになって、全体に春の輪郭が出てくる感じ。
富士桜ポークの旨煮と果物の妙な相性

口に入れるまでは半信半疑。でも甘酸っぱい果物と豚肉が、黒酢で不思議とまとまっていて、なぜかクセになる味。家ではやらないけど、旅先だからこそ楽しめる組み合わせ。
黒毛和牛のグリルと、芽キャベツの春らしさ

お肉そのものももちろん美味しいけれど、春野菜の甘みがそれを引き立ててくれている感じ。芽キャベツの香ばしさに、春の苦みが重なるのも好きだった。
炭うどんで口直し、そして春告魚の釜炊きご飯



うどんは真っ黒だけど、出汁が澄んでいて、ほっとする味。最後のごはんは“春告魚”という名前の通り、春を告げる香りがした。数の子と隠元も一緒に炊かれていて、食感も楽しい。
甘味もやっぱり、春の名残

苺の酸味に、バジルの爽やかさ。冷たさと甘さがきれいに整っていて、最後までちゃんと美味しかった。甘味の満足感って、地味に全体の印象を左右すると思う。
【朝食編】0歳連れでもゆっくり食べられた、ふふ河口湖のやさしい朝ごはん

朝起きて、部屋の外に出たときのひんやりした空気。
そのまま朝食会場へ向かうと、昨日と同じく“完全個室”が用意されていてホッとした。
赤ちゃんが少しぐずっても、周りを気にせずに済むって、それだけで朝の落ち着きがまったく違う。
“おめざ”から、ちょっとした楽しみが始まってた

アールグレイティー・オレンジ・ミント。小さな器に入ったゼリーがきれいに並んでいて、デザートかと思ったら“おめざ”だった。
朝いちばんの口に入れたのがこれで、目も気持ちもちゃんと覚めた感じ。
納豆グラタン?って思ったけど、これが意外にクセになる

納豆が熱されて香ばしくて、和風ラザニアみたいな雰囲気。中に黒毛和牛がしっかり入ってて、メイン級の存在感だった。
一瞬「クセあるかな?」と思ったけど、味噌の風味で丸くまとまってた。
“五連器”に並ぶ小鉢たち、どれも主張が強すぎずちょうどいい

・青菜の浸し 山榎
・揚げ茄子の旨煮
・忍野豆腐の厚揚げ 木ノ子餡かけ/だし巻き玉子/牛肉コロッケ
・季節の野菜
・本鮪漬け/山葵/梅ちりめん山椒
器ごとに表情が違って、目でも楽しめた。特に蒟蒻と肉味噌の組み合わせが好きだったな。
野菜が主役な朝ごはんって、しみじみうれしい
キャベツ・玉葱のドレッシングでさっぱりと。トマト、ブロッコリー、蓮根も焼きたてで、野菜がごちそうってこういうことか、と思った。
しっかりお刺身までついてくる
朝にお刺身?って思ったけど、醤油にさっとくぐらせた本鮪がやわらかくて、鬼おろしの食感が気持ちよかった。
こういうのが出ると、旅の朝って感じがする。
ごはんのおともたちが、どれも手抜きじゃない
白菜浅漬け、塩昆布、梅干し、鰹大根漬け。どれも少しずつなのに、ごはんが何杯もいけそうなくらい。
牛肉コロッケは衣が薄くてやさしい味。鰻出汁も、しっかり旨みがあって、小鉢なのがもったいないくらい。
おくどさんの麦飯と、とろろ汁の安心感

麦の香ばしさと、けんちん汁の根菜の甘み。とろろには大根、菊蕪、玉葱のシャキ感もあって、食べ応えもしっかり。
味つけがどれも濃すぎなくて、身体に負担がないのがありがたかった。
富士溶岩焼きスタイルで仕上げる、焼き立ての二品

小さな焼き台で、富士山の溶岩石を使って温められていた焼物。
皮まで香ばしく焼けたカラス鰈は、味噌の甘さが朝にちょうどよく、しっとりふわふわ。
富士桜ポークのベーコンは、脂の重さがなくて、赤身の旨みが強い。炙られた香りだけでごはんが進む。
“富士溶岩焼き”という名前の通り、富士山の恵みがこんなかたちで届くんだ、という小さな驚きもあった。
最後に、静かに締めくくる甘み

朝の終わりにフルーツだけって、物足りないかと思いきや、逆にこのくらいがちょうどよかった。
体がちゃんと満ちてる、そんな感覚でごちそうさま。
食べ終わって、ふと気づいたこと
- 「あ、ちゃんと“味わえた”な」って思えたこと
- 子どもがぐずっても、個室だから落ち着いて対応できた
- 季節がちゃんと料理に表れていて、旅らしさがあった
- 全体的に静かで、余白があって、気持ちが緩んでいた
帰ってからふと思った。
この旅は“どこかに行った”というより、“ちゃんと過ごした”って感じが残ってる。
それって、食事の時間がちゃんと心地よかったからかもしれない。
また来たいと思えた宿。ごはん目当てでもいいくらい
0歳連れでもちゃんと過ごせて、ごはんも特別。
季節を変えてまた来たら、きっとまったく違う会席になるんだろうなと思う。
ポイントまとめ(サラッと振り返り)
- 全食事が完全個室対応で、赤ちゃん連れでも安心
- 地元の食材を薪や溶岩石で調理。香りと温度が印象的
- 季節感のある会席コース+朝の和食も体にやさしい
- サービスのタイミングや空間も含めて“整ってる”
- 再訪したいと思える料理と空気感
