静かに始まる朝、ゆるやかな会場の空気
朝8時すぎ。エレベーターで朝食会場に向かうと、ホテルの中は想像以上にしんと静かだった。
ロビーに人はいるのに、ざわつきはなくて、なんとなく足音まで小さくなるような雰囲気。
ビュッフェ会場の入口では、スタッフの方がすっと近づいてきて、声をかけたら案内してくれた。
子どもがまだ離乳食中で食事はしないと伝えると、
「では、ソファのある奥の席にしましょうか」と、気を利かせてくれたのがありがたかった。

席についてすぐ感じたのは、全体の“やわらかさ”。
声や食器の音は聞こえるのに、不思議と耳に残らない。音が丸い、というか、空気が落ち着いている。
特にいいなと思ったのは、こんな点:
- 通路が広めで、ベビーカーでも気を使わず移動できる
- 席と席の間隔がしっかりあって、周りが気にならない
- 大きな窓から自然光が入り、朝の明るさがちょうどいい
子どもは。とくに騒ぐこともなく、窓の外をじっと見ていた。
メニューを選びに行く前のこの数分だけでも、「このホテルの朝、いいな」と思えた。
静かで、無理がなくて、気持ちがすっと整っていく感じ。
朝から贅沢すぎた、海鮮丼ビュッフェ

まず目に飛び込んできたのが、海鮮コーナー。
大きなトレーに盛られた甘エビ、つやつやのいくら、濃厚そうなネギトロ…。朝食のビュッフェでここまで充実しているのは、ちょっと珍しいかもしれない。
白ごはんをよそって、自分好みに具をのせていくスタイル。ついあれもこれも、と手が伸びてしまう。結果、こんな感じに:
- 甘エビ
- いくら
- ネギトロ
- とろろ少々
あとは、ネギを少し。しょうゆは横にあるポットから、ちょんとひとかけ。

最初のひと口で、朝から「これは贅沢だなあ」としみじみ思った。
いくらのぷちぷち感と、ほんのりあったかいご飯。ネギトロの脂も重たくなくて、ぺろりといけてしまう。
ほかにも和のおかずが並んでいて

- だし巻き卵(しっとり系)
- 焼き鮭
- きんぴらごぼう
- 小松菜のおひたし

みたいな、派手じゃないけどちゃんと作られた惣菜が並んでいた。
お味噌汁はセルフで具を選ぶスタイルで、ネギとお麩を多めに。やさしい出汁の香りが、ちょうど海鮮丼を食べ終わった頃にしみ込んでくる。
洋食にちょっと寄り道。パンとナポリタンの誘惑
和の満足感にひたりながら会場をぐるっとまわっていたら、パンのいい香りがふわっと。バターの香りというか、甘くて香ばしい感じ。朝の空気にまざってくると、それだけでなんだか元気が出てくる。

パンは小ぶりで種類が多くて、選ぶのが楽しい。
- クロワッサン(外はさくっと、中はしっとり)
- シナモンロール(甘すぎなくて食べやすい)
- レーズンブレッドやデニッシュ系も数種類

横にはポップアップ式のトースターがあって、焼き加減も自分好みに調整できるようになっていた。こういう細かい部分に気を使ってくれていると、ちょっと嬉しくなる。
その隣にあったのがナポリタンとスクランブルエッグ。
朝にパスタ?と思いつつ、子どもがもう少し大きかったら、これきっと喜ぶだろうな…と思ってひと口。
意外とあっさりしていて、懐かしい味。ケチャップの甘さ控えめで、ちょっとだけ大人寄り。

スクランブルエッグは、ふわっと軽め。バターの風味がちゃんとあるのに、重たくない。ソーセージも脂っこくなく、何より温度がちょうどよくて、冷めていないのが地味に嬉しかった。
甘い系、しょっぱい系、どちらの洋食も一口ずつ楽しめる感じ。朝食って、たくさん食べなくても「ちょっとずつ」が楽しいんだなと改めて思う。
朝にちょうどいい華やかさ。サラダとアサイーボウル
食後にさっぱりしたものがほしくて、サラダコーナーへ。
冷えすぎていないガラスケースの中に、色とりどりの野菜が並んでいて、見ているだけでちょっと楽しくなる。
並んでいたのはこんな感じ:

- グリーンリーフ、紫キャベツ、ミニトマト
- ブロッコリー、パプリカ、コーン
- ポテトサラダとミックスビーンズも少しだけ
ドレッシングも種類が多く、和風・シーザー・青じそ・オリーブオイルなど。たくさんかけなくても、野菜がしっかりしているから味が決まる。ブロッコリーが意外に甘くておいしかった。
そしてもうひとつ気になっていたのが、アサイーボウルコーナー。
小ぶりの器に、自分で好きな具材をトッピングしていくスタイルで、これが地味に楽しい。
選べるトッピングは、

- グラノーラ
- バナナ、キウイ、ブルーベリー
- はちみつ、ナッツ、ココナッツチップ
グラノーラのざくざく感と、冷たいアサイーがちょうどよくて、最後にぴったりの軽さ。
甘すぎず、少し酸味もあって、口の中がすっとリセットされるような感じ。
フルーツの種類も豊富で、子どもがもう少し大きくなったら、フルーツだけで朝ごはんになりそうだなと思った。

和・洋でおなかを満たしたあとに、このさっぱり感。まさに“締め”の一皿だった。
飲みものまで整ってる、ドリンクコーナーの気持ちよさ
朝食の締めに向かう途中、ふと目に留まったドリンクコーナー。
壁際にL字型に広がっていて、ガラスのディスペンサーがずらっと並ぶ姿がなんだか清々しかった。
並んでいたのは、こんなラインナップ

- オレンジジュース
- マンゴージュース
- 野菜ジュース(にんじんとりんごのミックス)
- 牛乳、豆乳、水
それぞれのジュースが、光を通してほんのり色づいていて、朝の日差しと重なるとそれだけで美しく見える。
コップも厚みのあるガラスで、ひとつずつきちんと冷やされているあたりに、さりげない丁寧さを感じた。
ホットドリンクは別のカウンターに用意されて

- コーヒー(ホット・アイス)
- 紅茶(ティーバッグ式/お湯の温度が選べる)
- カフェラテ・カプチーノ(マシンからセルフで)
こういうのがあると、食後に一息つく時間を自然に作れるから助かる。
抱っこした子どもがうとうとし始めていたので、アイスコーヒーをひと口だけ飲んで、そっと席を立った。
また来たいと思えた、静かな朝の記憶
食事を終えて、会場を出る頃には9時を少し過ぎていた。
混雑した感じは最後までなくて、ずっとゆったりとした時間が流れていたのが印象的だった。
この朝食で、特にありがたかったと感じたのは——
- 通路や席まわりに余裕があって、ベビーカーでも動きやすかったこと
- 子どもが食べない状況でも、嫌な顔ひとつなく対応してもらえたこと
- メニューの並びや導線がスムーズで、焦らず食事を楽しめたこと

もちろん料理もよかったけれど、食べながらふと「この雰囲気が好きだな」と思った。
きらびやかすぎず、家庭的すぎず、ちょうどいい距離感で整っている。朝のホテルって、こんなに気持ちよかったっけ…と、久しぶりに感じた。
子どもはほとんど寝ていたけれど、それもそれで助かった。
静かな場所で、落ち着いた音と光の中にいると、親も子も自然とペースが整うのかもしれない。
また次に泊まるときも、ここの朝ごはんが楽しみになりそう。
前の日の夜よりも、むしろ朝にこのホテルの良さがじんわり出てくる気がした。
ザ・マークグランドホテル|詳細
基本情報
- 所在地:埼玉県さいたま市中央区新都心3-2
- アクセス:JRさいたま新都心駅から徒歩約10分。さいたまスーパーアリーナへも徒歩圏内
- 客室数:全156室(洋室152室、和室2室、その他2室)
- チェックイン/アウト:15:00/10:00
- 駐車場:127台収容可能。1泊1,500円(税込)、予約不要、高さ制限2.2m
